アントワーヌを追いかけて

あるいは「日曜哲学」へのいざない

ワイルド・サイドを歩け

勝手に生きろ! (河出文庫 フ 3-5) 作者:チャールズ ブコウスキー 河出書房新社 Amazon ぼくの人生を振り返ってみると、決して順風満帆というわけではない。子どもの頃は友だちを作ることもできず本の中に閉じこもってばかりで、そんな孤独な生活を大学まで送…

偶然の音楽

世の中は偶然に満ちている (単行本) 作者:赤瀬川 原平 筑摩書房 Amazon いまこれを書いているのは午後10時51分。外は雨が降っているようで、そう思うとふと「雨のよく降るこの星では……」というフレーズが思い出されたのでそのままそれに導かれて、小沢健二の…

わたくしのビートルズ

季節の記憶 (中公文庫) 作者:保坂 和志 中央公論新社 Amazon ぼくが毎週木曜日に参加しているあるミーティングにおいて、ぼく自身がプレゼンテーションを行う番が回ってきた。引き受けたのはいいのだけど、いったい何を話すべきかあれこれ考えても妙案を思い…

Don't Look Back In Anger

日本人の目玉 (ちくま学芸文庫) 作者:福田 和也 筑摩書房 Amazon まだ20代の若い頃、ぼくにはさまざまな「仮想敵」がいた。わかりやすく言えば血気盛んな青年でいろんな物事に常に論争をふっかける喧嘩っ早い、はた迷惑な鼻つまみ者だった。具体的に言えばぼ…

悲しき玩具

おかしくってもダイジョーブ!! (ハヤカワ文庫 NF 174) 作者:香山 リカ 早川書房 Amazon 昨日寝入りばなに、ぼくはあれこれ考え込んだ。おかしなことにいま思えばいったい何を考え込んだのか、それがまったくもって思い出せない。こういうことは前にもあった…

ハッピー・ジャック

幸福論 作者:アラン 日経BP Amazon いったい何を書いたらいいだろうかと考えて手詰まりになり、しょうがないのでたまたま手元にあった水村美苗『私小説 from left to right』や『日本語が亡びるとき』をパラパラめくる。思えば、水村美苗を始めとするバイリ…

犬は吠えるがキャラバンは進む

リマーク 1997-2007 作者:池田 晶子 トランスビュー Amazon ぼくは十代の頃は、哲学書と名付けられた・名高かった本を熱心に読みふけった記憶は実はまったくもってなくて、むしろ文学書ばかり読んでいたのだった。その筆頭がこれまでさんざん書いてきた村上…

Never Mind The Distortion

危険な文章講座 (ちくま新書) 作者:山崎 浩一 筑摩書房 Amazon ふと、たとえば「そういえば、言葉について片岡義男は『日本語の外へ』でどう語っていただろう」と考えたり、あるいは「また(何度読んでも歯が立たない本ではあるけれど)柄谷行人『探究Ⅰ』を…

僕はここにいる

オン・ビーイング・ミー~「私」って何? 作者:ヴェルマン,J.デイヴィッド ニュートンプレス Amazon 単なる子どもじみた問いでしかないかなとも思うのだけれど、それでもぼくはときおり「ぼくって何だろう」と思ってしまう。この「ぼく」とは何者・何物なのか…

ハイウェイ

ラバーソウルの弾みかた (ちくま学芸文庫) 作者:佐藤 良明 筑摩書房 Amazon 「大人になるってどういうことだろう?」と、自分に向かって問いかけてみる。でも、答えは出てこない。ということは、ぼくは「大人」の定義を言えないということかと思う。でも、「…

だいたいで、いいじゃない?

スティル・ライフ (中公文庫) 作者:池澤夏樹 中央公論新社 Amazon 去年、ぼくは池澤夏樹の最初期の作品『スティル・ライフ』を読み返した。初めて読んだのはぼくが十代の頃だっただろうか。いまぼくはアラフィフで、つまり30年近く経って読み返したことにな…

あなたがここにいてほしい

言葉と歩く日記 (岩波新書) 作者:多和田 葉子 岩波書店 Amazon 今日は遅番勤務の日なので、朝は時間が空くかもしれない。何か本を読むことを考え、薄い本をカバンに忍ばせることにする。三木那由他『言葉の展望台』をまた読み返すか、それとも多和田葉子『言…

小さな「確実性の問題」

内省と遡行 (講談社文芸文庫) 作者:柄谷行人 講談社 Amazon 自分自身を作り上げる嗜好(テイスト)とは何だろう……いま、ぼくはピーター・ガブリエルのアルバム『i/o』を聴きながらこの文を書いている。実を言うとピーター・ガブリエルを聴くようになったのは…

日曜哲学宣言

skmt 坂本龍一とは誰か (ちくま文庫) 作者:坂本 龍一,後藤 繁雄 筑摩書房 Amazon いったい自分は何を考えているんだろう? ふと自分自身にそう問いかけてみる。こうしたことを自分に問いかけるのはそうめずらしいことではない。なんだかんだでぼくはいまもX…

World In My Eyes

水中の哲学者たち 作者:永井玲衣 晶文社 Amazon ひさびさに手に取った永井玲衣『水中の哲学者たち』を読み返し、そこにおいて著者の永井玲衣が「いつからか、世界をよく見れるひとになりたいと思うようになった」と書いているのに気づき、それに不意打ちを喰…